著作権法の罰則規定の改正時に国外犯についての考慮はあったか?
帝国議会・国会では、これまで一切検討されていなかった模様。加戸の記述はかなり重要
「実は、刑法施行法第27条第1号を削除するかどうかについては慎重に検討したのでありますが、日本国民である以上、著作権関係国際条約に加盟していないために著作物等の利用が自由とされる国においても、文化国家の基盤ともいうべき著作権等の権利を尊重すべき立場に置くこととしたものであります。」(加戸813頁)
しかし、作花は「『文化国家の基盤である著作権に対する尊重』を罰則により担保することが、適切な法制と言い得るのか疑問であり、本来的には現行法制定時に整理されるべきものであった」と手厳しい(詳解771頁)。
また、中山は以前紹介したとおり、「何ゆえ著作権についてのみこのような国外犯の規定が置かれたのか不明である。」としている(666頁)。
加戸が「慎重に検討」と言うのは、行政レベルの話であると考えられ、それをもって「慎重に」と言ってよいかはなはだ疑問である。
少なくとも、改正時点で国外犯の適用がある著作権法上の罪の範囲を明確にするために、著作権法に規定すべきではなかったか?
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