第1回「コスメに関する法律」では、どのような法律が関係しているのかを概観します。
まずは「薬機法」
コスメに関する法律で一番重要なのは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。長い名前ですので、通常「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と略して呼ばれています。
もともとは「薬事法」という名前でしたが、平成25年の法律改正で現在の名前となりました。「薬事法」という名前なら、どこかで耳にしたことがある方も多いですよね。まだ聞き慣れない「薬機法」という略称ですが、徐々に浸透していくと思われます。
コスメはたくさんの原材料から作られ、そして肌につけるものです。
何のルールもなかったら、無責任なメーカーが身体や健康に害があるコスメを製造・販売するかもしれません。
そういったことがないようルールを定めているのが薬機法なのです。
誇大広告には「景表法」
薬機法以外でコスメに深く関係するのが「不当景品類及び不当表示防止法」です。この法律も長い名前なので「景品表示法」や「景表法」と略されるのが普通です。
コスメの宣伝・広告を行う時、メーカーや販売店等は、売上アップのために、その効果を何かしらの形で消費者に伝えたいと考えるのは当然です。
しかし、宣伝広告の中にウソや過剰な表現が使われれば、消費者はだまされてしまい、不利益を被ってしまいます。
こうしたことを防止するのが景表法の役割です。
景表法は、おまけや付録(法律名の「景品」はコレのことです)を規制する法律でもあり、この点でも少しコスメに関係してきます。
ブランド保護の商標法・不正競争防止法
ブランドという面からコスメを見た時に深く関係するのが「商標法」と「不正競争防止法」です。シャネルとは関係のない化粧品会社が「シャネル」とか「ココ・シャネル」あるいはそれらと似た名前を掲げてコスメを販売すれば、消費者に混乱や不利益を招きますし、シャネルのブランドイメージに傷がつきかねませんよね。
こうした事態を防止するのが商標法や不正競争防止法です。
メーカー名(「資生堂」「CLINIQUE」等)やブランドシリーズ名(「KATE」「ジェニフィック」等)の保護が中心になりますが、商品の容器等の形や香りも一部カバーしていますので、香水の容器や香りが他社に模倣されることの防止につながります。
デザインは意匠法
コスメのパケ買いに関係するといえば、「意匠法」です。意匠法は、主に商品デザインの模倣を防止することを目的としている法律です。
また、先ほど登場した「商標法」や「不正競争防止法」でも部分的にデザインが保護されます。
他にもいろいろと・・・
その他にも、会社と従業員の関係では労働基準法等が、メーカーと小売店の関係では独占禁止法(これも略称で、正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です)等が、広告のイメージやキャッチコピーについては著作権法が・・・といろいろな法律が関係してきます。しかし、最初からあまりにも手を広げすぎるのは失敗の元!
まずは、上で挙げた「薬機法」「景表法」「商標法」「不正競争防止法」「意匠法」について勉強していきたいと思います。
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