島並良=上野達弘=横山久芳著「著作権法入門〔第2版〕」有斐閣 2016年10月
オススメ度
「一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
初学者・学部生 ★★★★★
大学院生 ★★★★☆
実務者 ★★★★
紹介
気鋭の3名の学者による概説書。2009年に初版が発行され大変な好評を博した書籍の第2版です。
初版時に支持を集めた理由は、大小様々な論点があり、また条文自体も込み入っているため、枝葉末節にとらわれて視界不良になりがちな著作権法の世界には、見通しのよいまさに本書のような概説書が必要とされていたからでしょう。
著者の3名は、いずれもこの分野で顕著な業績を残し現在学会の中核となっている学者で、その3人が分担して、それぞれの得意領域を著述している訳ですから、内容が優れているのは当然です。
しかし、それ以上に感動するのは、複数人による執筆とは思えないほど、全編を通して調和と統一感がある点です。
これは3名による綿密な打ち合わせと真摯な議論の賜物に違いありません。
論文集、判例集やコンメンタールといった形で、1冊の本に優れた才能が集まることは珍しくありませんが、本書のように「文殊の知恵」により概説書という形で才能が集結したのは本当に素晴らしいことであり、学問的な貢献も大きいことでしょう。
「入門」と銘打っていますが、内容のレベルとしては、法律に無縁な一般向けという訳ではなく、法学部生の学習書というのが一番しっくりきます。
とはいえ、重要な論点については理論的側面からしっかりわかりやすく説明されていますので、幅広い層の方に少しの躊躇もなくオススメできる一冊です。
電子書籍としても入手できますので、お好きな媒体をお選び下さい。
島並良は神戸大学教授。
上野達弘は早稲田大学大学院法務研究科教授。
横山久芳は学習院大学教授。
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