著作兼の本棚(27) 小倉秀夫・金井重彦編著「著作権法コンメンタール」

小倉秀夫・金井重彦編著「著作権法コンメンタール」レクシスネクシス・ジャパン 2013年
オススメ度
目的や学習レベルごとにオススメ度を最高評価★✕5で示しています(☆は0.5)。
一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
一般 ★★
初学者・学部生 ★★★
大学院生 ★★★☆
実務者 ★★★★


紹介
著作権法分野を代表する弁護士2名を編者とするコンメンタール。

本書は、東京布井出版から刊行された「著作権法コンメンタール(上・下巻)」の実質的な改訂版です。
東京布井出版が倒産してしまったため、未改訂の状況が長く続いていましたが、当時の印刷会社が保管していた版下データをレクシスネクシス・ジャパンが利用できるようになったため、念願の改訂が叶ったという経緯がはしがきに記載されています。

そのはしがきでも触れられていますが、勁草書房が刊行する新しいコンメンタール(以下、単に「半田=松田」とします。)と製作・刊行の時期がかぶることになってしまったため、本書の価値も自然とそれとの比較から見ることになります。

半田=松田は、圧倒的なボリュームを誇り、問題となっている大小様々な論点を網羅的に紹介しているのに対して、本書は条文の文言解釈を丁寧に進めていくといった趣があります。

結果的に、情報量という点においては、本書は半田=松田にかなり引けをとる形となりました。

しかし、逆にいえば、半田=松田はたいていの人には不必要な内容まで細々と記載されており、情報過多のきらいがあるのに対して、本書は一番知りたいであろう条文の解釈と判例がほどよい量で紹介されている、ということになります。

個人的には特長が明確な書籍が好きですので、カトチクと半田=松田のちょうど中間に位置する感じの本書が中途半端に思えて強く推すのは難しいのですが、人によっては中庸を得ていて本書がちょうど良いということになると思います。

小倉秀夫は弁護士(東京平河法律事務所)。
金井重彦は弁護士(金井法律事務所)。


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