著作権の本棚(24) 秀間修一・仁平淳宏(講師)「ネット時代のクリエイターやミュージシャンが得する権利や著作権の本」

秀間修一・仁平淳宏(講師)/杉本善徳(学徒)「ネット時代のクリエイターやミュージシャンが得する権利や著作権の本」シンコーミュージック・エンターテイメント 2017年5月
オススメ度
目的や学習レベルごとにオススメ度を最高評価★✕5で示しています(☆は0.5)。
一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
一般 ★★★★☆
初学者・学部生 ★★★☆
大学院生 ★★★
実務者 ★★★★

紹介
実務家2人を講師に迎えて講義形式で進められる実務書。

まずは大事なことを1つ。
この本、見た目はチャラいですが、内容はかなりしっかりしていますのでご安心を(笑)

講師は、シンコーミュージック・エンターテイメント取締役退任後、音楽ビジネスのコンサルティングを行う(株)リアルライツを設立しその代表取締役である本間修一氏と(株)ドワンゴで権利渉外を担当し、一般社団法人日本ネットクリエイター協会を立ち上げた仁平淳宏氏。
権利処理の最前線に立つ2人が携わっているため、すぐにでもクリエイターに役立つ実践的な情報が満載です。

クリエイターという立場の人が権利関係の知識を欲する場合、一般的な著作権の書籍よりも、こういった書籍の方がずっと役立つはずです。
必要な情報が入手できるのはもちろん、小難しい法律論を読むより、はるかに創作意欲が湧いてくるという副次的な効果も期待できます。

また、法律書でしか著作権に触れていない方も一読して損はありません。
現実世界で著作物がどのような形で動いているのか実感でき、法律書では味わえない満足感が得られるでしょう。

あとがき(本書では「OUTRO」)に「この本読んだ人には、勘が備わってくれるといいんだよね。分からないことがあればもっと調べたり、詳しい人に聞きに行ったりすればいいんだしさ。そうすればいろいろ、拡がるんだから」という本間氏の言葉が記されています。
多くの音楽やその関係者に携わってきた人の本音でしょう。
「これを読めば全てがわかる」といったあり得ないウソを平然と宣伝文句に使う世の中にあって、とても清々しい気分になります。

本体価格1,700円ですので、コストパフォーマンスは抜群です。

だいぶ音楽やニコニコに偏った内容ですが、それを割り引いても、オススメできる好著です。

講師については前述。学徒(生徒役)は、「超ミュージシャン的エンターテイナー」の杉本善徳氏。取材を大関勇気氏、構成・編集を田中浩一氏がそれぞれ担当。


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