著作権の本棚(25) 甲野正道=山梨俊夫著/全国美術館会議編「現場で使える美術著作権ガイド」

甲野正道=山梨俊夫著/全国美術館会議編「現場で使える美術著作権ガイド」ブリュッケ 2011年2月 ※絶版
オススメ度
目的や学習レベルごとにオススメ度を最高評価★✕5で示しています(☆は0.5)。
一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
一般 ★★☆
初学者・学部生 ★★★
大学院生 ★★
実務者 ★★★☆

紹介
元文化庁著作権課課長他による実務書。

「現場で使える」の「現場」は美術館と思って下さい。
序文には、美術館外で美術に携わる人にも活用して欲しい旨の記載がありますが、やはり美術館関係者向きというしかありません。

まず、内容自体、第1部が「美術著作権と美術館」、第2部が「作品寄贈の対処」という2部構成ですから、これはまさに美術館関係者のための本でしょう。
それに加えて、本書の折り目正しい雰囲気が美術館らしさを醸し出しており、もう美術館関係者のための本以外の何物でもありません。

という訳で、本書の対象はかなり狭いのですが、内容面は細かい点にまで神経が行き届いており、信頼性は非常に高いです。

「はじめに」で「著作権法を所管している文化庁の関係者の協力のもとに執筆されており、行政解釈が最もよく現れていると考えられる」ことから、「著作権法逐条講義〔5訂新版〕」(加戸守行)を多く引用していると明言しているのも、(その是非はともかくとして)スタンスが明確で、読者にとってはありがたいです。

著者は2人とも美術館で要職を経験しており、さすがに美術館業務に直結する具体的な記載が多いです。

・・・といろいろ書いてきましたが、絶版本であり現在は入手困難です。
発行がブリュッケだけあって装丁が秀逸で、それだけでも絶版なのが残念な気になります。

入手された場合、近時の法改正に対応していないことに十分ご注意ください。
本書発行後に美術に関係する規定にも重要な改正事項がありましたので、現状の法律と合致しない内容も含まれています。

甲野正道は元文化庁著作権課課長。国立西洋美術館副館長等を歴任。
山梨俊夫は、現在、国立国際美術館館長。


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