著作権の本棚(20) エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク「エンターテインメント法務Q&A」

エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク編「エンターテインメント法務Q&A」民事法研究会 2017年5月
オススメ度
目的や学習レベルごとにオススメ度を最高評価★✕5で示しています(☆は0.5)。
一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
一般 ★★★☆
初学者・学部生 ★★☆
大学院生 ★★★
実務者 ★★★★


紹介
エンターテインメント・ロイヤー12名によるエンタメ分野の法務に特化した実務書。

表紙に「映像・出版・スポーツ・ゲームからインターネット、イベント、プロダクション等をめぐる実務対応を解説!」とあるように、エンタメ分野の幅広い領域の法務について、65のQ&Aによって解説しています。

著作権法だけでなく、商標法や破産法・景品表示法等登場する法律は多数にのぼりますが、6〜7割は著作権法の話題ですので、「著作権の本棚」の記事で紹介させて頂きます。
話題が広く、またエンタメ分野という誰もが興味をもちやすい内容ですので、楽しみながら知識を吸収できます。

もちろん実務書ということで法律知識を持っていないと厳しい部分もありますが、逆に知識のない人が本書に触れて、法律を勉強したくなるということもありそうです。

「コンプガチャ」や「観客参加型作品」「番組海外提供」等、他の書籍ではなかなか見ることができない話題が多く、また最先端のトピックも積極的に取り上げられていますので、独自の価値を有する1冊です。
ただし、その代償として、リアルな実務に対応できるほどには充実していない項目も目立ちます。

また、1冊を通しての統一感がなく、記事を寄せ集めた印象を受けます。
「はしがき」に「緊急発刊」という言葉が見られ、かなり急いで制作されたものなのでしょう。
願うらくは、今後、こまめに改訂が行われることで、話題を増やしつつ、内容がリファインされていくことです。そうすれば、素晴らしい名著になる予感がしますし、なによりも日本のエンタメ法務が充実していくことでしょう。

エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークは知的財産戦略本部事務局の後押しで設立されたNPO法人。エンタメ弁護士とエンタメ分野の重鎮(例えば、角川歴彦や里中満智子等)により構成。


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