作花文雄著「詳解 著作権法〔第5版〕」ぎょうせい 2018年3月
オススメ度
「一般」は著作権について大まかに知りたい方、「初学者・学部生」は著作権を基礎からしっかり勉強したい方、「大学院生」は司法試験で知的財産法を選択する方、「実務者」はメインの業務で著作権に携わる方が目安となります。
初学者・学部生 ★★★☆
大学院生 ★★★★☆
実務者 ★★★★☆
紹介
官僚として著作権関連の重任を務めてきたプロフェッショナルによる体系書。1999年の初版以来、著作権法を学習・研究する者を支え続けた、この分野を代表する書籍の最新版です。
条文の解説、判例の紹介、学説の検討と著作権法を学習・研究する上で不可欠な情報が一冊の中にバランスよく収められています。
著作権法について一般的に調査される事項は、何かしらの形で言及されているので、困ったことがあれば、まず開いてみるといいでしょう。
「註」で引用書籍や関連判例等が丁寧に紹介されていますので、次に当たるべき資料が明確になるという点でも優れた書籍です。
いちおう「体系書」に分類しましたが、特定の理念や思想を貫いて書かれたという感じではなく、制度ごとに妥当性の高い内容が解説されているといった印象です。
その点をどう見るかで、この本の評価も変わってくるでしょう。
本書の本領は最終の第Ⅶ部に置かれた「著作権制度の現代的課題」で発揮されます。
今日、著作権法で問題となっている事項が10章にわたって記載されており、今後の著作権法の動向を知る上で極めて有用な資料となります。
どういった点が問題になっているのかといった基本的な事項はもちろん、その沿革や海外での動向等も手厚く解説されており、普通だったら、学術雑誌や専門誌の論文を調査しなければ得られないような情報が、この第Ⅶ部でかなり得られることができます。
そういう意味でも、著作権法の学習・研究の道標となっている貴重な1冊です。
著者は、文部官僚として文部科学省生涯学習総括官、文化庁審議官等を歴任。現在、弘前大学副学長、放送大学客員教授。
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