制定当時には、もちろんインターネットなどありませんでしたので、それに備える規定は著作権法には存在しませんでした。
しかし、情報通信技術の発展とともにインターネットは急速に普及し、現在ではインターネット上のコンテンツこそ著作権法の主役と言っても過言ではない状況になっています。
技術の進歩は、インターネット上のコンテンツを質量ともに劇的に変化させました。
後追いの感は否めませんが、著作権法もその変化に対応すべく、今日まで幾度も改正されてきました。
その部分だけをピックアップして詳しく解説した資料がなかなか見当たりませんでしたので、本サイトで用意してみることにしました。
少しでも何かのお役に立てれば、とても嬉しいです。
改正事項の性質に応じて、以下のように「枠」を色分けされています。
主に著作権者の保護を強化するための改正事項です。広範囲に影響が及びます。
著作物を利用しやすくするための改正事項です。比較的広範囲に影響が及びます。
主にインターネット関連の事業を行う者に関係する改正事項です。
学校の授業の円滑化や障害者が著作物を利用しやすくするための改正事項です。
特殊な機能を有する国立国会図書館の事業を円滑に進めるための改正事項です。
昭和61年改正
新たに「有線送信」という概念が設定されました。
平成9年改正
「放送権」「有線放送権」が「公衆送信権」という権利にまとめられました。
公衆送信権に関し、自動公衆送信には、送信可能化が含まれる旨が規定され、送信の準備段階で公衆送信権が働くようになりました(送信可能化権)。実演家とレコード制作者にも送信可能化権が付与されました。
コンピュータ・プログラムについては「同一構内における公衆への有線送信」についても公衆送信権の対象になりました。
平成11年改正
技術的保護手段の回避に対する規制措置の一環として、技術的保護手段の回避を行う専門プログラムを公衆に公衆送信等した者に対して、刑事罰が科されることになりました。
権利管理情報を故意に改変したりする等の行為が、著作権等の侵害とみなすこととされました。
平成12年改正
点字をデータ化したり公衆送信することが自由に行えるようになりました。
放送と並行しての字幕送信が自由にできるようになりました。
平成14年改正
放送事業者及び有線放送事業者に新たに送信可能化権が付与されました。
平成15年改正
連携授業等を円滑に行えるように著作物の公衆送信ができるようになり、また、著作物を試験問題として公衆送信することができるようになりました。
平成18年改正
IPマルチキャスト放送による放送の同時再送信の円滑化を図るため、実演家及びレコード制作者の送信可能化権が制限され、代替的に補償金請求権が付与されることになりました。
専ら視覚障害者の用に供するために行う録音図書の自動公衆送信が行えるようになりました。
平成21年改正
著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合には、私的使用目的であっても、著作権侵害となることになりました。
障害者が必要とする幅広い方式での複製等ができるようになりました。
ネットオークションの際にサムネイル画像として掲示し、送信することができるようになりました。
通信事業者等がミラーリングやバックアップの際に行う著作物複製が許容されることが明文化されました。
検索エンジンの機能に付随する複製等が許容されることが明文化されました。
ウェブ情報解析等の過程に付随する著作物の利用が許容されることが明文化されました。
インターネットサイトを閲覧する際に自動的に行われるキャッシュの作成などが許容されることが明文化されました。。
平成21年改正(国立国会図書館法)
インターネット上の公的な性格の資料を国立国会図書館の記録媒体に記録することができるようになりました。
平成24年改正
平成21年改正で導入された私的使用目的の複製に当たらない違法ダウンロードが刑罰の対象となりました。
平成24年改正(国立国会図書館法)
一般の資料についても、平成21年改正のインターネット資料と同様の扱いができるようになりました。
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